2020年2月にセブ市内マボロ教会敷地内で実施されたセブフリーデンタルクリック。
このフリーデンタルクリニックは、特定非営利活動法人神奈川海外ボランティア歯科医療団(KADVO-Kanagawa Alliance of Dental Volunteers Oveseas)が主体となり現地歯科医師会 (セブ歯科医師会・CDS)、サウスウエスタン大学歯学部、現地サポーター、ロータリークラブなどの支援のもとに行われています。
今回、KADVOからは、歯科医師16名、歯科衛生士8名、一般5名、計29名、セブ側から、歯科医師80名と薬剤師、通訳などのボランティア145名の協力のもと開催されました。
この活動は1982年に数名の日本人歯科医師がセブ島での歯の健康状態の視察から始まり、1984年正式に第1回セプフリーデンタルクリニックとして開始されました。
当初は診療環境の問題や患者さん自身の事情により抜歯が中心でしたが、その後携行型の切削機材等を持ち込み、ほとんどの虫歯については保存可能となり、多量に付着している曲垢・歯石除去も行うことができるようになりました。
また、虫歯、歯周病に対する根本的な対応として予防・口腔衛生教育が必須と考え、活動開始10年目以降、歯科衛生士による予防教育とブラッシング指導が加わり、さらに近年では歯科技工士の参加もあり、入れ歯を短期間で作成し、提供できるようになりました。
2008年、これまでの功績が認められ、外務大臣表彰を授与されました。これは長年にわたり継続された活動であることと、日本、フィリピンの歯科医療技術交流と友好親善に貢献したことが、表彰理由で、近年、徐々に、我々の最終目標である、現地の「自立」が起きていることも事実です。
これからの課題としては、この活動をまずはセブ島全域に広め、最終的には、同国の歯科医療関係者の手で、フィリビン全土でフリークリニックが行われ、また、予防・口腔衛生教育が普及されることにより、虫歯や歯周病の発生が未然に防ぐことができればと考えています。
37年間という歴史には、1986年アキノ政権樹立に至るまでのエドゥサ革命、また湾岸戦争における海外渡航自粛における延期。2014年には出発当日の関東地方大雪における出発の大幅な遅延などが思い出されます。そして今回の新型コロナウィルスによる規模の縮小。中止を余儀なくされる状況のなか、現地のパートナーシップである歯科医師会・たくさんの友人の協力により1回の中止もなく37回を無事終えています。これもひとえにセブ側の協力とボランティアなくしてはできない活動であります。
日本では東日本大震災をはじめ、多くの災害を経験しましたが、1995年の阪神淡路大震災を期に、この20数年で「ボランティア活動」への取り組みが官民併せて大きく変化したと思います。また、フィリピンでは、カソリックの国としてもともと奉仕の素地はありましたが、私どもと活動を共にする現地コーディネーターや歯科医師の方々を見ていると、その取り組み方が変化し、教義・義務等からではなく、各人が楽しみながら責任を持って参加されている様に思います。
この様な中で、セブフリーデンタルクリニックも37周年を期に、ニーズに則した良い意味での変化が必要であると考えています。しかしこれからも一つだけ変わらないものがあります。それは、この37年間に築き上げられた本プロジェクトに関わる両国関係者の「友情」です。
このボランティア活動が必要とされない世界がおとずれることが理想であり、いつかはその様な時代も来ると思います。しかし、例え活動が無くなっても、友情は永遠に続くと考えています。
我々の活動が両国の友好と親善の一助になればと深く思います。
患者総数: 964名
充填:257
抜歯: 117
歯周: 366
義歯: 104・予防: 120 (フッ素塗布75含む)
特定非営利活動法人
神奈川海外ボランティア歯科医療団